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ビタミンDをかんがえる2

Q1 健康な生活のためにはビタミンDが不可欠だと聞きましたが、どうしてでしょうか。

 かつて、ビタミンDの不足が引き起こす病気といえばクル病や骨軟化症でしたが、最近では高齢者、特に閉経以後の女性に多くみられる骨粗鬆症がビタミンDに関係する病気として、多くの関心を集めています。
 骨粗鬆症は、骨が大根に鬆(す)が入ったように空洞化し、もろくなる病気です。足や腰が痛くなったり、ちょっとした動作で簡単に骨折してしまうこともあります。
 そのため、高齢者は骨折が原因で寝たきりになり、老人性痴ほう症に進んでしまうことも少なくありません。
 この骨粗鬆症の予防や治療には、カルシウムとともにビタミンDが欠かせません。
 従って、骨粗鬆症を予防し、高齢化社会を快適に過ごすためには、ビタミンDが不可欠なのです。

Q2 ビタミンDは、どのような働きをしているのですか。

 ビタミン自体は血や肉やエネルギーになりませんが、私たちが毎日生きていくうえで欠かすことができません。ビタミンはからだに入った食物が胃や腸で消化・吸収・分解され、エネルギーやからだの成分などに合成される手助けをします。
 ビタミンと同じような働きをするものにはホルモンがあります。ビタミンは1日当たりの必要量はごくわずかですが、本来は体内で作られないため、必ず食物からとらなければなりません。ホルモンは体内で自力で作られるので、食物からとる必要はありません。
 ビタミンの種類は大きく2つに分けることができます。1つは、水に溶けやすく、比較的短期間に尿中へ排せつされる水溶性ビタミン。もう1つは脂に溶けやすく、ある程度の期間、からだの中で蓄えることのできる脂溶性ビタミンで、ビタミンDはこの脂溶性ビタミンの1つです。
 骨や歯はカルシウムから作られますが、カルシウムが骨や歯になるためにはビタミンDが欠かせません。体重50~60kgの成人には、約1kgのカルシウムが含まれています。そのうち99%が骨や歯に、残りの1%が筋肉や血液などに含まれています。骨の中のカルシウムはりんと一緒になって骨塩の形で骨を作っています。
 ビタミンDはそのままの形では作用することはできず、からだの中で活性型に変わることが必要です。
 ビタミンDは食品から摂取するほか、日光に当たって皮膚でも作られていますが、いずれも肝臓や腎臓で活性型ビタミンDになってはじめて、体内で作用することができます。
 食物の中に含まれているカルシウムは小腸で吸収されますが、このとき活性型ビタミンDの手助けがなければ、カルシウムは吸収されにくいのです。
 骨は成人になると一生変化しないように見えますが、毎日作り変えられています。1日に約500mgのカルシウムが骨から血液中に溶け出し(骨吸収)、同時に同じ量のカルシウムが血液中から骨へ沈着して新しい骨を作っています。(骨形成)。

Q3 骨粗鬆症は、どうして高齢者の女性に多いのでしょうか。

 骨粗鬆症は高齢者、特に閉経後の女性に多いことは前にも触れました。2025年には4人に1人が高齢者となり、骨粗鬆症にかかる人がますます増えると予測されています。表に示したように、男女合わせた患者数は2000年には約530万人に上ることが予想されています。中でも、女性は男性の約4倍もの患者数が予測されています。
 骨粗鬆症が高齢者に多いのは、年齢とともにカルシウムやビタミンDの摂取量が減ったり、ビタミンDの活性化が十分行われなくなるためと考えられています。
 血液中のカルシウム濃度は、生命を維持していくことに大きなかかわりがあるため、常に正常(10mg/100ml)に保たれるようになっています。
 血液中のカルシウム濃度が低下して正常以下になると、副甲状腺ホルモンが直接骨に働いて、骨を溶かし血液中のカルシウム濃度を正常にします。そのため、食品から摂取するカルシウムやビタミンDが少なくなると、骨の中のカルシウムがどんどん溶け出して骨がもろくなるのです。
 一方、食品から摂取するカルシウムやビタミンDの量は十分でも、肝臓や腎臓の働きがよくないため、体内でビタミンDが活性型にならず、骨吸収と骨形成のバランスが崩れることもあります。
 また、高齢化とともに小腸の働きが弱くなり、カルシウムやビタミンDが十分吸収されなくなることもあります。
 男性、女性両ホルモンとも骨からカルシウムが過剰に溶け出すのを防ぐ役目をしています。従って、性ホルモンが出なくなると骨からカルシウムがどんどん溶け出してしまうのです。男性よりも女性のほうが性ホルモンの停止が早く起こるので、女性に多く骨粗鬆症の発症が見られるのです。
 骨は男女ともに10~20歳代で急速に成長して、30歳代の前半に最大骨量になり、老齢期に入ると減少し続けます。
 女性の骨の量は各年代とも男性より少なく、特に50歳以降の閉経後は著しく低くなっています。しかし、ビタミンDとカルシウムを十分とって、年齢に合った運動をしている人は、老齢期の骨の減少のカーブがゆるやかであることが知られています。
 骨粗鬆症を防ぐためには、30歳代前半に最大となる骨の量を、できるだけ大きくしておくことが重要です。たくさん貯金があると、老後の生活が快適なように、最大骨量が大きいと、年とともに骨の量が減っても、残っている骨の量が多いので、骨折は起こりにくくなります。
 そのためには、若いころから十分ビタミンDとカルシウムをとり、適度な運動をすることが大切です。

 


Q4 ビタミンDをたくさんとるためには、どうしたらよいのでしょうか。また、とり過ぎたときの問題はないのでしょうか。

 一般にビタミンは体内では作られないため、必ず食物からとらなくてはなりませんが、ビタミンDだけは体内でも作られます。
 人間を含む動物の皮膚にはコレステロールが合成される途中でできる、7-デヒドロコレステロール(プロビタンD)が存在しています。それが日光中の紫外線を受けてビタミンDに変わり、体内に吸収されるのです。
 皮膚でビタミンDを作るために必要な紫外線は、目に刺激を与えたり、肌荒れや、弱いながらも皮膚がんの原因になったりします。
 特に、近年オゾン属の破壊による紫外線の増加と皮膚がんの問題が多くの関心を集めています。適度な日光浴は欠かせませんが、極端な日光浴は避け、海水浴など長時間紫外線にさらされる場合は、日焼け止めの対策も必要です。
 ところで、ビタミンDはさまざまな食品に含まれますが、中でも魚に多く含まれています。
 魚以外ではシイタケやキクラゲなどきのこ類や、卵にも含まれていますが、魚ほど多くありません。
 1日に必要なビタミンDの量は成人の男性で100IUなので、1日の献立に魚を少し加えるだけでビタミンDは十分補給できます。
 また、ビタミンDは脂溶性のビタミンとしてからだに蓄えられるので、毎日でなくても週に2~3回魚を献立に加えれば不足することはありません。
 必要以上とると、余ったものは体内に蓄えられます。ただほかの脂溶性のビタミンと違って、活性型にならない限り作用しませんから、少しぐらい余分にとっても、過剰症の起こる心配はあまりありません。
 紫外線を受けることによって皮膚で作られるビタミンDの量も、皮膚の表面にメラニン層が形成されるため、ある一定以上には上昇しません。これは過剰症を防ぐための一種の防衛反応と考えられます。
 病院などで医師の処方箋の指示に従って用いられるビタミンD製品には、活性型ビタミンD剤もあります。これを毎日過剰に摂取した場合には、食欲不振、体重減少、頻尿、嘔吐など過剰症の症状が出てくることがあるので、医師や薬剤師の指示を守ることが必要です。ひどいときには、腎臓や動脈にカルシウムが沈着して異常石灰化を起こすこともあります。
 こうした問題を防ぐためには、決められたとおり、正しく服用することが大切です。

Q5 健康を維持するため、日常生活でどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。

 ビタミンDは、魚を食べる日本人にとっては比較的とりやすいビタミンです。さらに、日光に当たると皮膚でも作られますので、通常の食生活で不足することはあまりありません。
 しかし、日中外出する機会の少ない高齢者や乳幼児、天候の悪い地域に住む人、日焼け止め入り(UVケア)化粧品などを使用している女性は、心がけてとることが必要です。
 骨粗鬆症は、40代以降になるとだれでもかかる可能性のある病気です。しかし、老化は日常の習慣や心がけ次第で遅らせることができます。骨粗鬆症になって不自由な生活を送らないためにも、若いうちからビタミンDやカルシウムを多く含む食品を食べることを心がけたいものです。
 また、ビタミンDは骨の病気だけでなく、さまざまな病気の治療や予防に有効であることが明らかになりつつあります。
 最近では、ビタミンDとカルシウムを十分とることが、大腸がんや乳がんを予防するという研究報告が発表されています。
 すべての人々の健康を守る上で、大きな期待が寄せられているビタミンDやカルシウムを含め、私たちが必要とする栄養素は、食事から上手にとるよう心がけましょう。

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